SUPERCRITICAL FLUID

 超臨界流体とは?

ppt3

物質は温度と圧力により,気体,液体および固体の状態をとり,気体-液体間の状態変化曲線 (蒸気圧曲線) は 高温・高圧側に臨界点という終点がある.臨界点の温度・圧力は物質により大きく異なっており,臨界点を超える温度・圧力の物質を超臨界流体と言い, 超臨界流体は臨界点付近において液体および気体と比較して物性が大きく変化する.超臨界流体の密度,粘度,拡散係数は,気体と液体の中間の値を示し*1, 液体に近い状態から気体に近い状態まで,物性を連続的に変化させることができるという特徴を持つ. また,一定温度下で圧力を変化させると,臨界点付近から溶解度が大きく増加する*2. これら超臨界流体の特異的な物性は,様々な分野において応用され,技術開発がなされている. 例えば,超臨界流体分解・合成反応や超臨界流体抽出 (SFE),超臨界流体クロマトグラフィー (SFC) などがある.
*1 荒井 康彦, 超臨界流体のすべて, テクノシステム 
*2 M. Charoenchaitrakool et al., Ind. Eng. Chem. Res. 39: 4794-4802 (2000)ppt4

超臨界流体クロマトグラフィーとは,主として超臨界流体二酸化炭素を移動相に用いるクロマトグラフィーである. 従来法のガスクロマトグラフィー (GC) はキャピラリーカラムを用いて高分離能を持って実現しているが, 有機化合物の揮発性と熱安定性の程度により,測定対象となる化合物の網羅性に制限があり,分析には誘導体化が不可欠である. 液体クロマトグラフィー (LC) は揮発性の低い化合物を分析できるが,移動相中での溶質の拡散速度が遅く, 効率の良い分離を行うためには長い分析時間と口径の小さいカラムが必要であり,分析できる化合物の網羅性に問題がある. 一方,SFCはこれらの問題点をある程度克服できる方法として注目されている.超臨界流体は低粘性, 高拡散性というクロマトグラフィーの移動相として好ましい性質を有している.SFCでは,GCのように誘導体化を必要とせず, 低い温度で分析できる.また,LCよりもハイスループットであり,より幅広い化合物を分析できるため,網羅性の点でも優れている. さらに高分離分析が可能であるという特徴を持ち,極性有機溶媒 (モディファイヤー) の添加,温度,背圧を変化させることで, GCやLCにはない幅広い分離モードを選択できる*1,2.これにより,ポリプレノールなどの高分子化合物*3やキラル化合物, さらには脂質*4など代謝物の分離にSFCが用いられている.ポリプレノールなどの高分子化合物の分離において,SFCを用いた場合, LCでの分析と比較してハイスループット,高分解能な分析が可能となった.また,キラル化合物の分離分析では,高分離が達成され, 製薬分野などにおけるキラル化合物の分取における有用性が示され利用されている*5.
*1 R. M. Smith, J. of Chromatogr. A, 856: 83-115 (1999) 
*2 T. A. Berger, J. of Chromatogr. A, 785: 3-33 (1997) 
*3 T. Bamba et al., J. Chromatogr. A, 995: 203–207 (2003) 
*4 T. Bamba et al., J. Biosci. Bioeng., 105: 460-469 (2008) 
*5 L. Toribio et al., J. Sep. Sci., 31: 1307-1313 (2008)