RESEARCH 2023.04.052020.03.13 はじめに メタボロミクス 1990年に始まったヒトゲノム計画により、2003年にはヒトのゲノムの全塩基配列が解読されました。このプロジェクトによりヒトの遺伝子数は約3万と推定されましたが、その結果分かったことは、ゲノム情報だけでは説明することができない生命現象が... メタボロームの物理化学的性質の多様性 メタボロームは物理化学的性質の範囲が広いという特徴があります。物理化学的性質には、例えば、分子量 (~2,000まで)、極性 (低極性から高極性)、電荷特性 (陽イオン性、両イオン性、陰イオン性、非荷電) や分子の立体構造 (キラリティ... 超臨界流体超臨界流体 (supercritical fluid: SCF) は、温度と圧力が気液の臨界点 (critical point) を超えた状態の流体であり、液体の持つ溶解性と気体の持つ拡散性の両方の物性を持ち合わせた理想の溶媒といえます。... 分析技術の開発 親水性メタボローム分析法の開発親水性メタボロームを網羅的に測定するために、馬場研究室では、逆相液体クロマトグラフィー質量分析 (reversed phased liquid chromatography mass spectrometry, LC/MS)、親水性相互作... 定量リピドーム分析法の開発 脂質は糖質やタンパク質と並んで三大栄養素と呼ばれ、生体膜の主要構成成分、エネルギー源、神経伝達や生体防御の調節など、生命維持や身体活動に欠かすことができません。脂質はアルコール (グリセリン、スフィンゴシン、ステロール) に様々な種類の... シングルセルメタボローム分析手法の開発 代謝物はDNAやRNA解析時のPCRのような増幅操作ができないため、細胞内に存在する分子をそのまま検出する必要があります。他の分子階層 (プロテオーム・トランスクリプトームなど) と比べると、代謝物は比較的高濃度 (microM–mM)... シングルセルプロテオーム分析手法の開発シングルセルの分解能でのオミクス解析は、様々な分子の発現に基づく細胞の不均一性を実証してきました。しかし、ナノフロー液体クロマトグラフィータンデム質量分析計(nano-LC/MS/MS)を用いたショットガンプロテオミクスでは、少量サンプル... リポタンパク質代謝解析法の開発食事により摂取した脂質や新たに肝臓で合成された脂質は様々な組織へと輸送されます。疎水性の高い脂質は血液に溶けることができないため、周囲をタンパク質で覆った「リポタンパク質」を形成することで血液中に分泌されます。リポタンパク質は密度の違いに... 応用研究 Achievementの論文リストからアクセスお願いいたします。